ポセイドン「さて、此度の聖戦において、勝者はアテナとなった。現代に蘇っているのは、私ポセイドンと、兄冥王ハーデス、女神アテナだ。先ほど、話し合った結果、地上にちょっかいを出さないのなら、海界・冥界共に存在可とうことだ」
イオ「へー、アテナ太っ腹じゃん」
クリシュナ「それで、ポセイドン様はどうなさるのです?」
ポセイドン「うむ。いい加減、壷の中で寝ているのにも飽きたし、アテナも起きていて構わないというから、しばらく様子を見ようと思う」
ソレント「それでは・・・」
ポセイドン「海界の・・・海王の復活だ」
海闘士一同「「「「わーーーー!!(歓声)」」」」
一同が、歓声を上げる。
ポセイドン「さて」
海闘士たちを制止、話を続ける。
ポセイドン「先ほど、こちらに戻る前に、アテナと話し合ったのだが、北氷洋海将軍のシードラゴンだが、コレまで通りカノンとする」
ソレント「なっ!!」
カーサ「ヒュー♪」
クリシュナ「ポセイドン様!!」
ポセイドン「現代において、アテナとの抗争は・・・ないと思であろう。私の負けであれば、盟約に従い一時の眠りにつくが常故にな。となれば、その間を取るものが必要となる。その点は、シードラゴンが適任だ。そして、星宿もまた、あのものをシードラゴンと認めておる」
イオ「ふーん」
バイアン「まあ、あの人以外が、この面子の指揮を取れるとは思わないもんね」
アイザック「それで・・・・・シードラゴンは?」
ポセイドン「それがな、私がこちらにつれて帰ろうとしたところ、アテナに奪われてしまった。当座は、体が本調子でないゆえ、聖域で療養させると。快癒しだい、こちらに挨拶に来させると言っておった」
ソレント「つまり、シードラゴンの本拠地は、聖域だと?」
ポセイドン「―――そういう訳ではない、と思う。あの男は、兄と大喧嘩をやらかしているから、その仲直りをさせるのが先だと言うのがアテナの主張だ」
バイアン「まあ、兄弟喧嘩が元で、ポセイドン様復活させたんだからなぁ」
イオ「人騒がせだよね」
アイザック「まったく」
イオ「それを考えたら、今後の海界と聖域のためにも仲直りしてからって言いたくなるよね」
バイアン「だな」
肩をすくめて笑う三人。
ソレント「ちょっと!!それでいいんですか!!?」
バイアン「いいって、なにが?」
ソレント「あの男は私達を騙していたんですよ!それを、そんなに簡単に許して!」
イオ「うーん、でも、動機は何でアレ、シードラゴン、海界のために一生懸命やってたよ」
バイアン「うん、うん」
イオ「オレ達が、仲間だって言うのもきっと本当だったから。ね」
クリシュナ「ソレントの言い分は分かる」
ソレント「クリシュナv」
クリシュナ「だが、ポセイドン様がお許しになったのだ。我らが口を出す必要はあるまい」
カーサ「そ、そ。大体、怒るなら本人に怒らないと。な!体力無駄に消耗するだけだぜ」
バイアン「ソレントは、最後まで見ていたから、きっと、より思うところがあるんだろうけど。いいじゃん。また、みんなで昔みたいにバカやろうぜ」
イオ「それで、シードラゴンを怒らせて、ストレスを溜めさせてやろうv」
カーサ「そ、そ」
ソレント「・・・・・・・・・・・・・・・・(ブス)」
イオ「そう、すねるなって」
勝手に会話を繰り広げる海将軍を他所に、テティスは、ジュリアンの身を案じていた。
何故なら、バッチリポセイドンに憑依されているからである。
テティス「あの、ポセイドン様」
ポセイドン「なんだ、テティスよ」
テティス「あの、ジュリアン様はどうなっていらっしゃるのでしょうか?ポセイドン様がジュリアン様の肉体をお使いになるとしたら?」
ポセイドンの復活は海闘士として喜ばしいのは事実だだが、このままポセイドンが覚醒を続ければジュリアンの人生を奪ってしまうことになるのでは。
言葉を途中で止めても、その瞳は雄弁に、ジュリアンに対する心配を物語っている。
ポセイドン「ふむ、常々私が覚醒していると、ジュリアンが表に出られぬのか」
思案する、海王。
ポセイドン「まあ、神の拠り代に選ばれたと思って諦めてもらうしかないな」
テティス「ポセイドン様!?」
ポセイドン「冗談だ。私が-神の意志が-必要でない時は、ジュリアンに、肉体を返してやろう。人の目から世の中を見るのもまた面白かろう」
テティス「あ、ありがとうございます!」
ポセイドン「叶うとよいな」
テティス「は?何かおっしゃりましたか?」
ポセイドン「いや、なんでもない。私は疲れたゆえ、一時寝所へ行くとしよう」
王座から立ち上がる。
ポセイドン「テティス、海将軍たちに伝えよ。体調を万全に期するように、と」
テティス「はい」
争いとなれば、冷酷な姿を見せる。
嵐の海と同じく。
だが、平穏なる日々では、
大海原は、雄大なる姿。
冷酷も、寛大も彼の身が内にある
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