ラダマンティス「だー!!!!なんなんだこの書類の山はー!!!!」
ジュデッカに響いたのは、翼竜の悲鳴。
ミーノス「あー、また騒いでますよ。一度死んでも変わりませんねー」
アイアコス「生き返って早々、大変だねー」
バレンタイン・クィーン・シルフィード・ゴードン『人の上司を哀れむ暇があったら、さっさと仕事をしてください!!!!!!!』
バレンタイン、クィーン、シルフィード、ゴードンによる大合唱。
ミーノス「ごほっ、ごほっ、スミマセンが私、まだ本調子じゃないので。ああ、まだ熱が」
アイアコス「オレはちゃんと手伝おうとしたぞ!そしたら『触るな!!(睨)お前が触ると、仕事が倍になる!!!!』て、怒鳴られたんだ」
バレンタイン「アイアコス様はそれで宜しいです」
ゴードン「ミーノス様はきちんと仕事をしてください!さっき、ルネ泣いてましたよ」
ミーノス「私の分はルネに任せてあるんです。大体、イアコスは免除で、何で私だけ?」
バレンタイン「仕事ができるのに、なさらないからです!見てください、せっかく生き返ったばっかりなのに、あの死相の浮かんだラダマンティス様!!あれじゃあ、死んでたときの方がまだ元気だったんじゃないか?って顔してるじゃないですか!」
シルフィード「わぁ〜、言いきっちゃった。バレンタイン」
ゴードン「的を得ているところがまた痛い・・・」
クィーン「仕方がないな。ミーノス様、ミーノス様(チョイチョイ)」
ミーノス「ん、なんです?」
クィーン「いいですか、ココでラダマンティス様を手伝っておくと・・・・」
ミーノス「おくと?」
クィーン「私の握っている、ラダマンティス様の弱みを漏れなくプレゼントさせていただきますv」
バレンタイン・ゴードン・シルフィード『ちょっとまてー!!』
ミーノス「ああ、我が親愛なる友、ラダマンティス。そんなに1人で抱え込んで。どうして同僚の私を頼ってくれないんです?さあ、半分貸してください☆」
ラダマンティス「お前、頭大丈夫か?仕事より、医者に行った方が・・・・」
ミーノス「何を言っているんです!同僚が同僚を助けるのは当たり前ですよ!」
バレエでも踊るかのように、リズムよくラダマンティスに近づく。
バレンタイン「うわー!!すっかりやる気!」
シルフィード「どーする気だよ!!」
ゴードン「後でラダマンティス様がもっと苦労するじゃないかーーー!」
クィーン「まあ、それはそれ?」
シルフィード「それはそれ、で済ますな!!」
バレンタイン「今すぐそのネタを忘れろ!!」
パンドラ「お前達、何を騒いでいるのだ?」
シルフィード・バレンタイン・クィーン・ゴードン『買pンドラ様!?』
ラダ「パンドラ様?」
光速で、その名前をキャッチ。
瞬きする間もなく、目の前に膝を折っている。
パンドラ「なにやら、騒々しいが」
ラダマンティス「は、申し訳ございません。お前達静かにしろ!」
シルフィード・バレンタイン・クィーン・ゴードン『はい(ビシ)』
パンドラ「三巨頭、少し話があるが良いか?」
三巨頭『はっ』
パンドラ「付いて参れ」
執務室から、場所を移す。
パンドラ「うむ、先ほどハーデス様からお話があってな、アテナとポセイドンと停戦したらしい」
ミーノス「停戦?属国ではなく?」
アイアコス「それは・・・何と」
ラダマンティス「真にございますか?」
パンドラ「うむ。今、冥界はこうして蘇っているのもそのためだ。此度の聖戦の勝者、アテナが停戦を申し入れてきた。この時代においての決定権は、勝者が・・・アテナが握っておるため、我らに拒否権はない。あのような山になっている戦後処理を押しつけられたとしても」
ミーノス「あれだけのペナルティーとは甘いですね、聖域も」
ラダマンティス「それでは、これからは?」
パンドラ「冥界はコレまでどおりだ。ただし、刑の緩和を要請された。罪人を罰するのは、死後の一定期間のみ、と」
アイアコス「じゃあ、色々と変える必要が出てきませんか?」
パンドラ「うむ。コレまでのシステムとはある程度の改変を加える必要がある。冥界復興で大変であろうが、頼む」
ラダマンティス「お任せください。パンドラ様・・・いえ、・ハーデス様のためでしたら、このラダマンティス喜んで作業に当たります」
パンドラ「期待しておるぞ。話は以上だ。・・・・・・・・・・・・・・・・ミーノスとアイアコスは仕事に戻れ」
ミーノス・アイアコス『はい』
ラダマンティス「私は?」
パンドラ「少し話したいことがある」
なにやら少し落ちつかなげなパンドラ。
ミーノス「ひょっとしたら告白かもしれませんよ」
アイアコス「そうそう、人はいつ死ぬかわからないっての経験したばかりだもんな」
ミーノス・アイアコス『ガンバレv』
ラダマンティス「な、何をバカな!」
パンドラ「何かいったか?」
ミーノス「いいえ、少し仕事の話を。では、失礼します。アイアコス行きますよ」
アイアコス「失礼しました」
部屋を出たとたん、三巨頭の威信も何もない姿と化す2巨頭。
ドアに張り付いて、盗み聞きする姿は、ただの野次馬。
これが神話に名高い判官の姿だろうか?
こんな奴らに裁かれていると知ったら、死ねぬと分かっていてももう一度首吊りをしたがる亡者続出のことだろう。
ラダマンティス「それで、私に話とは?」
パンドラ「うむ。まずは、このハーデス様の書状を聖域に届けてほしいのだ」
ラダマンティス「はっ、承知いたしました。それで、それは今すぐでしょうか?」
パンドラ「いや、明日で構わぬ。今日は生き返ったばかりでソナタも疲れているであろう。・・・・その・・・えっとだな・・・・・・・・もう一つ・・・・頼みごとがあるんだ。その、私的なことなのだが・・・・・・・」
ラダマンティス「はい、何でございましょう?」
パンドラ「あ〜、その・・・・・・・えっと・・・・・・・・・その(モジモジ)」
ラダマンティス(な、なんだ?普段毅然としていらっしゃるパンドラ様が、こんなに言い辛く、この落ちつかなげな態度は?ま、まさか本当に、オレに告白!!?う、嬉しいが・・・冥界の女王と、部下では立場が。あー、いや、結婚式はどういうのがお好みなんだ?その前に、ハーデス様に許可を頂かねば。だが、16歳と23歳では犯罪か?やはり、20歳まで待つべきか)
完全に思考がショートしているラダマンティス。
パンドラ「実はな・・・・・」
ラダ「(Σはっ、イカン)えっと、何でございましょう?」
パンドラ「その、・・・・この手紙を・・・・・」
白に花の柄の入った可憐な封筒。
ラダマンティスの胸は高鳴る。
――ドアの反対側
アイアコス・ミーノス(この手紙を!!!!)
パンドラ「えっと、この手紙をだな・・・・」
ラダマンティス(ドキドキ)
パンドラ「その〜(///赤面)」
ラダマンティス(Σはっ、もしやココはオレから言って差し上げるべきか?男として)
パンドラ「お前に」
ラダマンティス「パンドラ様!皆まで仰ってくださいますな。このラダマンティス、貴女様のお気持ち、受け取りましたゆえ!!」
パンドラ「本当か!」
ラダ「はい!もちろんにございます。拒否する理由などどこにございましょう」
パンドラ「では、一輝に届けてくれるのだな!!」
ラダマンティス「喜んでお受け・・・・・Σ一輝ーーー!!??」
パンドラ「ありがとう!ラダマンティス!」
抱擁のためにパンドラに広げた腕は、永久凍土よりも、コキュートスよりも硬く凍りついた。
手紙を渡すのと一緒に、そっとパンドラが握ってくれたことにも気付けないほど。
――ドアの反対側
アイアコス「や、やっぱり〜〜〜。ミーノス!そ、そんなに笑っちゃかわいそうだろっ!!ププ」
ミーノス「な、何言ってるんです。クスクス。アイアコスだって、クスクス、笑ってるじゃないですか」
アイアコス「だって、あはははは」
ミーノス「クスクス。一世一代の告白を前に〜〜〜絶妙に会話を分断&繋げられるとは!流石は冥界の女王様です」
アイアコス「1番ツライね。ははは」
なんとも、同僚甲斐のある会話がなされていた。
パンドラ「どうかしたのか?ラダマンティス」
そっと揺さぶられたことで、再度体から抜け出た魂の尻尾がかろうじて引っかかった。
ラダマンティス「・・・・・・・・・・・・・・い、いえ。喜んでお受けします。その・・・任せを」
パンドラ「うむ。頼むな。他の2人では、邪推をされてしまいそうで。以前の礼を書いた物なのだが。ハーデス様の書状ともども、明日にでも聖域に届けてくれ」
不幸にも、この時の「以前の礼」と言うフレーズはラダの耳に入っていなかった。
ただ、ただ、乙女らしく頬を染めらパンドラが、想っていた相手が一輝だという事実しか念頭になく。
一度引き受けた仕事は、全うしなければならず、針の筵のラダマンティス。
翌日、泣く泣く聖域へと旅立つ。
一輝への殺意と共に。
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