魔鈴「いつまで、男だって言ってるのを疑ってるんだい?」
当人不在にも気付かず、続く罵り合い。
トレミー「だって、魔鈴!!」
魔鈴「そんな、涙目で見るんじゃないよ。情けない」
トレミー「でも、でも、オレやモーゼスが悪いって!!女の人じゃないのに、女に人だって言ったって!!」
魔鈴「え、責めどころは『一般人連れてきた』じゃなくて『女だと思ったら男だった』って方なのかい?」
カペラ「当然だ!!」
アルゲティ「他にどこを責める所がある!?」
ディオ「ぬか喜びさせやがってー!!」
アルゴル「どうやら、期待が大きかっただけに、落胆も大きかったらしい。おーい、モーゼス大丈夫か?」
トレミーともども、やり玉にあげられている。
魔鈴「期待したのは分かるけど・・・」
オルフェ「まあ、そう呆れてやるなよ。ボクみたいに恋人のいない聖闘士にしてみれば、高根の花過ぎるアテナ(色んな意味で)以外の女性なんて餓えているんだよ。女子聖闘士は、女性として扱った日には鉄拳制裁だしね」
シャイナ「当り前だろ。それが聖闘士の掟だよ」
オルフェ「でも、今生のアテナ曰『現世に限っては、私が気に入らないから仮面制度撤廃vvって、あら、それはやり過ぎ?じゃあ、顔見られた場合は、女性側の好みで愛してもいいし、気に入らなかったら相手の見た記憶撲滅になよう手段選ばずでいいんじゃないかしらvv殺しちゃダメよ』って仰ってたし、少しは・・・全然女性らしくして良いと言っていないね」
ダイダロス「むしろ男側の試練度は上がっている」
シャイナ「嫌なら、殺られないほどいい男になんな!!」
ミスティ「天馬座みたいな?」
シャイナ「そう!星矢みたいな・・・///なに言わせるんだい!!そ、そりゃ、アンタたちよりは星矢の方が断然上ってのは確かだけど」
魔鈴「そんな真っ赤で言っても全然説得力無いよ」
ミスティあ〜んな、傷まみれのチビガキのどこがそんなにいいのか分からないね。いくら私に勝って、黄金聖闘士様に勝って、神に勝ったからって」
ダイダロス「聖闘士としては、それだけ出来たら十分だろ」
オルフェ「むしろそこが大事で」
シャイナ「アンタみたいなナルシス自分一番大事男には分かんないよ!!」
ミスティ「当り前だろ!この私のこの美貌より大事なものなどない!!」
カペラ「言いきったなぁ」
ダンテ「そう言いながら、アフロディーテ様やシャカ様に負けて、さっき会った人にも負けたよな」
アステリオン「さんだっけ。名前は確かに男の人だよなぁ。頭の中も『うわ、また間違えられてる』って落ち込んでたし」
シリウス「落ち込んでたか?表面には見えなかったけど」
アステリオン「落ち込んでた」
アルゴル「オレがあの人の立場であれだけ言われたら間違いなく攻撃しているな」
オルフェ「あはは、言えてるよね〜。かる〜くストリンガーノクターンかな」
ディオ「死ぬわーー!!」
ダンテ「むしろ殺す気満々だろ」
カペラ「こんな連中ばっかりの中に、花が来たと思ったのに!!それも偽花じゃなくて、本物が!!」
アルゲティ「むしろ華」
バベル「それが、それがー!!!」
魔鈴「ぬか喜びだったと」
ディオ・カペラ・アルゲティ・バベル・ダンテ・『うをぉぉーーん!!』
シャイナ「あーうるさいね!!男なもんは、男なんだから諦めな!!どうせ、今までだって『美女vv』って思ったってみんな男だったってオチ何度も経験してんだろ!!」
ダンテ「だからこそ、外から来た人だからこそ!!女の人だと思ったのにぃ!!」
魔鈴「女率低いけど、そこいらの女顔負けの男だけは多いからね」
アステリオン「同じ魚座ってことで、アフロディーテ様に引き合わされたときは『黄金聖闘士様は女でも仮面なし!?ラッキーvv』って思ったっけ」
魔鈴「ああ、私も初めて見た時、面倒がなくてうらやましいと思ったよ」
バベル「それが男だと知った時のショック」
魔鈴「アンタらあの後、寝込んでたけどどうして?まさかショックで」
バベル「ああ、ショックで寝込んだ。さらに、オレらが寝込んだことを知ったデスマスク様がアフロディーテ様をからかったという角で、問答無用の教皇の間ままで続いているデモンローズの強制手入れ」
アステリオン「シュラ様が発見、取り成してくださらなかったら最初の白銀聖闘士死亡者はオレらだったな。あれ以来、仮面がないとはとりあえず男として扱っとけというのがオレの教訓だ」
シャイナ「バカだね。男とか女とかにこだわってるからそんな目に遇うんだよ」
バベル「こだわりたい年頃なんだよ!!」
基本十代半ばから後半。
一般社会でもこだわるお年ごろ。
ディオ「出会いがないからこそ一つの出会いが大事なんだー!!」
アルゲティ「そーだ、そーだ!!」
トレミー「オレも命助けたヒーローになれるかなとは思ったし」
モーゼス「お前そんなこと考えていたのか!?」
トレミー「モーゼスは考えなかったのか?」
モーゼス「そこまで正直頭が回っていなかった」
トレミー「あんな千載一遇のチャンスそうないよ!期待しようよ!!」
アルゲティ「そーだ、そーだ!」
カペラ「黄金聖闘士様や星矢たち青銅にはあってもオレらには二度とないかもしれない機会じゃないか!!」
少年の夢につい熱演する男性陣を、冷ややかな視線で見守る女性2人。
シャイナ「夢見てるね」
魔鈴「夢だね。しかも、もう敗れた夢だし」
オルフェ「その辺は見ない振りでの妄想入ってるね。で、その当のご本人は?いつの間にか姿見えないけど。この異常集団に恐れをなして逃げ出した?」
魔鈴「彼女持ちは余裕だね。いや、意外と順応した応対で今シャワー浴びてる」
モーゼス「Σシャワーって、怪我してただろ!!ちょ、アルゲティ邪魔だ」
魔鈴「こらこら、どこ行く気だい?覗きならヤメナ」
モーゼス「様子を見に」
魔鈴「大丈夫じゃなきゃ呼ぶって言ってたから、大丈夫だって。全身海水まみれじゃ、手当できないだろ。海水落とすだけだし。それより、アンタらも着替えといで。いつまでも床濡らされても困るし。あの人のことは、私らで見ておくから」
モーゼス「しかし・・・」
トレミー「まあ、これだけいれば大丈夫だろ?魔鈴の言うとおり、床結構濡らしてるし。取り敢えずオレらは、聖衣も脱いで着替えこよう。行こうぜ、モーゼス」
モーゼス「あ、ああ」
魔鈴「そうそう、行った、行った。で、あの二人は自分の服があるからいいとして、さんの服を調達しておかないといけないんだよね」
残った白銀聖闘士をぐるっと見回す。
オルフェ「だったら私の取って来るよ。身長も一番近いだろ?」
魔鈴「う〜ん、多分アンタくらいだと思うよ」
オルフェ「じゃあ、行ってくるねvvそれにユリティースに昨日帰れなかった言い訳しなきゃならないしね☆」
ダイダロス「私も付いて行く」
オルフェ「なんで?」
ダイダロス「お前一人で行かせると話し込むだろう。夜も明けてきて、そろそろ任務に我々も向かわなければならないのに、恋人との語らいをしだしたお前が時間内に戻って来るとは思えない」
オルフェ「信用ないなぁ。まあ、ユリティースの前には任務なんて塵芥だけどね!」
ダイダロス「任務優先しろ!!それでも聖闘士か!!ともかく、そんなだから見張りに行くんだ」
オルフェ「邪魔なのになぁ」
ブチブチ言いながら、ダイダロスを伴ってオルフェも出て行く。
アルゴル「なんだかんだで結構時間過ぎたな」
ミスティ「空が随分と明くなったね。そういえば、ジャミアンの奴何時まで報告にかかってるんだ?」
カペラ「気になるなら見に行ってやれよ。お前も一応報告義務あったんじゃないか?」
ミスティ「ジャミアンがやっといてくれるというから任せただけだ。大体1人も2人も、報告内容変わらないし」
ディオ「なぁ、そろそろ今朝の朝食係準備かかった方がいいんじゃないか?」
シリウス&アステリオン『お〜う』
バベル「あの二人か。今朝は普通の飯っぽいな」
ダンテ「ああ。この持ち回りで作るってのは当たっていない日が楽だが、作り手によってはビックリ箱と言うか死のロシアンルーレットに似ている。ある意味緊張感があっていいのかも知れんが」
アルゴル「そう言う緊張感は要らん。食事くらい心穏やかに食べたい」
カペラ「あ〜あ、今度オレ嘆願書出そうかな。飯炊きの人付けてください!て。材料支給って、何だよ」
ダンテ「だけど即効却下だろ。黄金聖闘士様にも付いていないし、一応、食堂あるんだし」
アルゲティ「でも、食堂の開店時間が8:00〜14:00って、かなり使い勝手悪いよな」
アルゴル「朝は8:00以前集合がほとんどで、夜はやってないんじゃなぁ」
ダンテ「たまに昼食べに行くくらいしか使わないな」
バベル「むしろ、食堂の時間を嘆願した方がまだ聞いてもらえそうだぞ」
だが彼らは知らない。
黄金聖闘士は同様の材料支給で自活するか、街に出て適当に調達して美味しいものを食べている事を。
青銅聖闘士は自分で聖域内の市に材料を買いに行かなければいけないものの、替わりに市のおばちゃんたちと仲良くなって、料理のコツや総菜を作ってもらっていることを。
雑兵たちは、「正規の聖闘士様にお知らせできるようなものでは!」と盛大に首を振るが、そこそこ美味しい雑兵相手の夜の食堂が聖域に存在していることを。
実は、白銀聖闘士の食事が一番切ないのだと。
魔鈴「食堂がもう少し使えたらとは私も思うね。毎日面倒だ」
シャイナ「そうかい?アタシは別に料理してもいいんだけどね」
一同『周囲が、嫌がってんだって』
とっさに突っ込んだ全員の結果は言わずとも知れているだろう。
オルフェ「はははは、ボクは常にユリティースの愛情たっぷりお手製料理だけどね!!」
「戻ってきて早々ムカつく!!」
「そんなに自慢なら、オレらにもおすそ分けしろよ!!」
「友達だろ!!」
「ははは、何その笑えない冗談。仮にそれが事実だとしても、ユリティースに君たちのために時間を割いてあげてくれなどこのボクが頼むわけないだろう!!あり得ないよ!!」
一同『だったら、自慢するなーー!!』
戻ってきて早々ハイテンションに、サンダークロウで床にぶっ倒れている連中の神経逆撫でしていくオルフェ。
ダイダロス「これはどうする?」
魔鈴「どうって、相手男なんだからあんたが届けた方が妥当じゃない?私が持って行くより」
ダイダロス「そうか・・・」
納得しきっていないような顔をしつつも、「言い分は魔鈴が正しいか?」と渡しに行く。
シャイナ「同性に渡すのにどうしてあんなに躊躇うんだい?」
魔鈴「どっから見ても異性なのに、同姓ってのが納得できてないんじゃない?たとえば、アルゲティの外見で女だって言われても納得できないような感じだろ?」
シャイナ「ふ〜ん、そんなもんか」
アルゴル「気色悪例え出すなよ」
魔鈴「的を得ていると思うんだが」
アルゴル「的を射ていても、もう少し穏便な相手選べよ。想像するだけで凶器だ」
つい頭の中に想い浮かべた、「女アルゲティ」に、顔をしかめる。
シャイナ「見たいものではないね。ところで、アルゴル何でシーツなんて持ってるんだい?」
アルゴル「あっちのベッド、あの人が濡れた状態で横になってたからシーツが濡れてたから変えようと思ったんだよ。ベッドは向こうのを使うにしても、自分が汚したままってイヤだろ?」
シャイナ「へ〜、優しいところあるんじゃん」
魔鈴「アンタの中でも、女の人になってない?」
アルゴル「納得しかねているのは事実だ。魔鈴とシャイナはどうなんだ?」
シャイナ「別に、聖域じゃ綺麗な男なんてザラにいるからいつものことだよ。まあ、ちょっと華奢だなと思うだけで」
魔鈴「別に男でも女でも私に特に関係ないし。対応に大差ないよ」
アルゴル「・・・そうか。お前たちの方が公平だな」
シーツを丸めて、部屋の隅の籠に放り込む。
この籠に集めた洗い物も持ち回りで、洗濯している。
決める前は、皆好き放題に脱ぎ散らかして、キノコが生えたりということもあって以来、一か所に洗い物は集めて当番が洗っている。
姑息な奴は、真面目で気がつかなさそうな当番の時にこっそり自分の普通の洗い物も混ぜていたりする。
アルゴル「マットは干さないと駄目だな。あとで外に出すか」
ダイダロス「出すなら手伝うぞ」
アルゴル「そうか?ならもう出しておくか」
重さはなんともないが、ちょっと長さがあるので2人で抱えて、扉の横に立てかけておく。
今日もよく晴れそうだから、夜までには乾くだろう。
と、2人の背中をバシンと叩く者がいた。
ジャミアン「よー!!やっと報告から解放されたぜ!!で、なんでマット乾してんだ?」
ダイダロス「少し濡れてな。戻って来るのがずいぶん遅かったがどうした?」
ジャミアン「それが、被害が出たのに報告に来るのが一人とは何事だー!!って今まで説教。他3人中か?帰ったらすぐにあの3人連れて来いって教皇直々のお達しなんだけど」
アルゴル「トレミーとモーゼスは濡れた服着替えに帰って、中にはミスティしかいないぞ」
ジャミアン「は〜ん、いないのかよ!だから兄弟たち返してやるって言ったのに。そうすりゃ空飛んで濡れずに済んだってのによ。ともかくミスティはいるんだな?」
アルゴル「ああ」
ジャミアン「んじゃあ、ともかくアイツだけでも捕まえておかねーと」
頭髪のない頭をかきかき、ミスティ確保に中に入る。
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